SalesforceのCRMとはなんぞや

インターネット時代に対応したビジネスモデル

まずCRMとはCustomer Relationship Managementの略で、企業と顧客の間に継続的な信頼関係を結ぶことを目的としたビジネスモデル。
企業はバブル経済が崩壊した1990年代以降、市場の成長が見込めない「ゼロ成長時代」を迎えた中で、限られたパイ(顧客)の奪い合い、または囲い込みを重点に置いたマーケティング戦略を確立するために登場したということだ。

目指すべきところは「近所の個人商店」。

顔なじみの店主が自分(顧客)の好みや財布の中身まで把握していて、その時に合った商品やサービスを提供してくれる。
私も若い夫婦がやっている近所の床屋さん(今風に言うとヘアーサロン)によく行くが、今までのヘアスタイルオーダーや使っているワックス、果ては関係ない昔付き合っていた彼女や良く行くスーパーなんかも知られている。
床屋さんのサービスでもある「気まずいトーク」も、既にいろいろ知った間柄であり、「あまり気まずくないトーク」にレベルアップされている。

そこの床屋さんは夫婦2人でやっているだけなので、自分たちが頭の中で把握しているだけのお客様情報しか持ってないのだろう。
ただし、もし仮にその床屋が急遽息子さんに引継がれでもしたらどうなるだろうか。
カット情報ぐらいならカルテがあるかも知れないが、良く行くスーパーや元カノのことなんかはさすがに書いてないと思う。
そうなると知らない間柄になってしまい、床屋特有の「気まずいトーク」になってしまう。

CRMのシステムではこれら元カノなどの「顧客からの生きた情報」は、個人のノウハウではなく、巨大な顧客管理データベースに蓄積しておく。
そうすることで、必要な時に情報を引き出し、私と話したことがない息子さんでも「気まずくないトーク」を繰り広げることができるのだ!

また、これらの蓄積された情報を利用し、顧客ニーズに対応した、より魅力的な商品リリース、よりタイムリーな情報発信、より親切なサービス提供に活用することがCRMの重要な目的だ。
それにより、私の満足度も向上し「あぁ、気まずいトークにならないあの床屋に行こう」と継続的な利用に繋がり、若い夫婦もホクホクになるビジネスモデルである。

Salesforceではどうなのか

当然、CRMを目的とした利用は多い。
(ちなみにSFDCでCRMと言うとケースやソリューションなどのサービス&サポートを指すことが多い)
またCRM利用に限った話ではないのだが、salesforceの利用者に使ってもらわなくては意味がない。
salesforceの導入を決めた管理者層は大概「あれも分析したい」「これも分析したい」となっている。それによって入力項目は増大してしまう。
そして利用する側である担当者は入力画面を見て「なにこれ・・・こんなに入力するの面倒くさい」となり、利用するのを止めてしまう。

データが入ってなければただのDBだ。
管理層やコンサルタントが一生懸命作ったレポートやダッシュボードを「よし、パパ分析しちゃうぞー!」と意気込んで参照しても、折れ線グラフが地べたをはいずりまわっているなんてことになる。
(余談だがセールスフォースではデータがなければ線すら出ない)

コンサルタントとして大切なのはそのバランスである。
本当に重要なKPIを設定し、それらを数値として取るために入力項目を用意する。
入力精度が低くなってしまっては期待する値がとれないので、時には必須項目にしたり入力規則を使用する。
また、場合によっては一部門で全て入力してもらうのではなく、複数の部門で総合的に補い、情報を完成させていくようにしよう。
その時は項目レベルセキュリティやレコードタイプ、ページレイアウトをうまく分け、1部門が入力する項目を減らすようにするとグッドだ。
イメージとしては100項目があるとすれば、営業部門では40、マーケティング部門では30、その他部門で残りの項目を入れるような感じにすると、1部門での入力不可はだいぶ減り「こんなに沢山入力するのイヤだよ!もう使わないよ!」となるのを防ぐことができる。

そんなこんなのCRMだ。