SCM(サプライチェーン・マネジメント)

情報の一元管理

SCMとは「原材料の供給者から最終需要者に至る全過程の業務プロセスを、1つのビジネスプロセスとしてとらえ直し、サービスや顧客付加価値を高め、企業に高収益をもたらす戦略的な経営管理手法」である。

うまい棒で考えてみよう。

うまい棒を提供している株式会社やおきんでは、人気の「めんたい味」や「チーズ味」の他にも地域限定の「もんじゃ焼き味」や「きりたんぽ味」などいろいろな種類のうまい棒を製造している。
そして、やおきんでは顧客に飽きられないように、前衛的な「オムライス味」や「なっとう味」「梅おにぎり味」など、常に新しい商品の開発を行っている。
しかしこれらの商品の中にはHIT商品もあれば、たいした成果も上げられず消えていく商品も多い。
そうするとまた新商品を提供するために、企画・製造を開始する。
常に顧客のニーズを読み、素早い商品提供がキモであり、企画からリリースまでの提供サイクルに時間がかかってしまうと厳しいお菓子市場の中で勝ち残ることができない。

新商品を開発するためには原材料を調達するなどのリードタイム、そして売れるかどうか分からない商品の在庫管理、そして様々なコストが重要である。

調達から提供までは当然やおきんだけではなく、原材料を調達する海外の業者や、製造もアジアの地域で行っている。(本当はどうだか知らない)
このように企業のグローバル化によって、調達、生産、販売の拠点が世界各地に分散しているような企業環境において、情報を統合・一元化することにより、販売計画や生産計画、ボトルネックの発見などを容易にするために、システムによって最適化を行っていくことがSCMと言える。

とても美味しそうとは思えない「梅おにぎり味」が予想外のHITを起こした時でも、システムにより在庫がどのくらいあるか?また、原料となる調味料はどのくらいで入手できるか?など、従来であるば海外に問い合わせるなどして情報を整理するだけで時間がかかっていたものが、1つのシステムに情報を集めることにより、より速く、正確な情報を入手し、計画を立てることができる。
それにより企業に収益をもたらすのがSCMの考え方だ。

salesforceでは

salesforceパブリッククラウドのシステムなので、SCMとは相性が良いと言える。
つまり、日本本社であれ、海外の拠点であれ、インターネットが繋がればどこからでもログインすることが可能だ。
また、マルチ言語にも対応しているので、同じシステムを見ながらにして、システム利用者が理解できる画面で利用することができる。

なお、SCMの構築では、企業間の連携、最適化を行う前に、社内の情報を統合し最適化しておく必要がある。

SalesforceのCRMとはなんぞや

インターネット時代に対応したビジネスモデル

まずCRMとはCustomer Relationship Managementの略で、企業と顧客の間に継続的な信頼関係を結ぶことを目的としたビジネスモデル。
企業はバブル経済が崩壊した1990年代以降、市場の成長が見込めない「ゼロ成長時代」を迎えた中で、限られたパイ(顧客)の奪い合い、または囲い込みを重点に置いたマーケティング戦略を確立するために登場したということだ。

目指すべきところは「近所の個人商店」。

顔なじみの店主が自分(顧客)の好みや財布の中身まで把握していて、その時に合った商品やサービスを提供してくれる。
私も若い夫婦がやっている近所の床屋さん(今風に言うとヘアーサロン)によく行くが、今までのヘアスタイルオーダーや使っているワックス、果ては関係ない昔付き合っていた彼女や良く行くスーパーなんかも知られている。
床屋さんのサービスでもある「気まずいトーク」も、既にいろいろ知った間柄であり、「あまり気まずくないトーク」にレベルアップされている。

そこの床屋さんは夫婦2人でやっているだけなので、自分たちが頭の中で把握しているだけのお客様情報しか持ってないのだろう。
ただし、もし仮にその床屋が急遽息子さんに引継がれでもしたらどうなるだろうか。
カット情報ぐらいならカルテがあるかも知れないが、良く行くスーパーや元カノのことなんかはさすがに書いてないと思う。
そうなると知らない間柄になってしまい、床屋特有の「気まずいトーク」になってしまう。

CRMのシステムではこれら元カノなどの「顧客からの生きた情報」は、個人のノウハウではなく、巨大な顧客管理データベースに蓄積しておく。
そうすることで、必要な時に情報を引き出し、私と話したことがない息子さんでも「気まずくないトーク」を繰り広げることができるのだ!

また、これらの蓄積された情報を利用し、顧客ニーズに対応した、より魅力的な商品リリース、よりタイムリーな情報発信、より親切なサービス提供に活用することがCRMの重要な目的だ。
それにより、私の満足度も向上し「あぁ、気まずいトークにならないあの床屋に行こう」と継続的な利用に繋がり、若い夫婦もホクホクになるビジネスモデルである。

Salesforceではどうなのか

当然、CRMを目的とした利用は多い。
(ちなみにSFDCでCRMと言うとケースやソリューションなどのサービス&サポートを指すことが多い)
またCRM利用に限った話ではないのだが、salesforceの利用者に使ってもらわなくては意味がない。
salesforceの導入を決めた管理者層は大概「あれも分析したい」「これも分析したい」となっている。それによって入力項目は増大してしまう。
そして利用する側である担当者は入力画面を見て「なにこれ・・・こんなに入力するの面倒くさい」となり、利用するのを止めてしまう。

データが入ってなければただのDBだ。
管理層やコンサルタントが一生懸命作ったレポートやダッシュボードを「よし、パパ分析しちゃうぞー!」と意気込んで参照しても、折れ線グラフが地べたをはいずりまわっているなんてことになる。
(余談だがセールスフォースではデータがなければ線すら出ない)

コンサルタントとして大切なのはそのバランスである。
本当に重要なKPIを設定し、それらを数値として取るために入力項目を用意する。
入力精度が低くなってしまっては期待する値がとれないので、時には必須項目にしたり入力規則を使用する。
また、場合によっては一部門で全て入力してもらうのではなく、複数の部門で総合的に補い、情報を完成させていくようにしよう。
その時は項目レベルセキュリティやレコードタイプ、ページレイアウトをうまく分け、1部門が入力する項目を減らすようにするとグッドだ。
イメージとしては100項目があるとすれば、営業部門では40、マーケティング部門では30、その他部門で残りの項目を入れるような感じにすると、1部門での入力不可はだいぶ減り「こんなに沢山入力するのイヤだよ!もう使わないよ!」となるのを防ぐことができる。

そんなこんなのCRMだ。